たくさんの道草と、ものづくりの合間の独り言。
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母方の伯母と会った。2年振りである。
初夏を思わせる陽気にジャケットを脱いで待っていたら、彼女はいつもの如く着物姿で現れた。
今日はこの季節に合わせ、紅花で染めた薄いピンクのストライプの着物に抹茶色がベースの帯、ライトグリーンの帯締め、パールと渋めのピンク二色使いが可愛い鼻緒のエナメルの草履だった。帯は人間国宝のなんとかさん作らしくて、そんなことを除いてもとても綺麗な色の組み合わせだった。
伯母に会うと、決まってフランス料理をいただくことになっている。
どこに行っても良い席が予約されていて、ワイン以外はメニューを見ることなく店の方と相談しながら料理を決め(時には特別メニューが組まれていることもある)、調理の前後には食材がテーブルまで運ばれて説明があり、必ずシェフが挨拶に来る。時には、メニュー決めからシェフが対応してくれたりする。緊張するが、時々はこういう、私の日常には無い気分を味わうのはとても気持ちが良い。流れを知るだけでも、私にとっては貴重な体験だ。
そんな感じで今回もいつものように食事が始まったかに思えたけれど、私は、以前よりもなんだかリラックスしていた。
母の25回忌を教えてくれたのは、実は伯母だった。
”しょうこちゃん、あちらにはこちらと違って25回忌っていうのがあるのねえ、あなた知ってた?”
毎年命日に合わせて実家に連絡をくれる伯母が父から聞いたと言って電話をくれて、今年は今月会いましょう、ということになったのだ。
伯母は20年前に下の息子を亡くしている。だから私達は、最愛の家族を失うと言う共通点を抱きながら再会して来た。母と年子の伯母にしてみれば、私に対する女親の代弁、というような気持ちもあってのことだったと思う。
しかし今回は、”大人同士”だった。
私は初めて彼女の恋の話しを聞き、その周囲の人間関係やそれに絡めた彼女の結婚観、伯父との関係を面白おかしく聞いた。それぞれの心の痛みや迷いを感じて、色々質問もした。そうやって最後に選んだ柑橘系のデザートを平らげる頃には、私達は女同士の会話を楽しみながらさっぱりとした良い気分になっていた。
4時間のランチのあと、街を散策しながらお気に入りの珈琲の店に行った。そこでもゆっくりして、地下鉄に乗るはずが遠回りをしてJRに乗り、新宿で先に降りて別れるつもりだったのだけどまだ話し足りないわと、二人で降りてホームでお喋りを続けた。伯母は私に話したいことがあると言ったが、それはいつものような諭す言葉ではなくて気遣いの言葉だけだった。
私は初めて、伯母を抱きしめた。着物の人を抱きしめるとこんな感じがするんだなあ、と思った。私はやっと、伯母を理解し始めたんだと思う。
続きを書こうと思えばまだまだある。
どこまでも言葉を続けられる。
でもそれはまたいつか、似つかわしい時が来るまで取っておきたい。
代わりに伯母が引用した言葉を。
70年生きた時、私はどんな言葉を若造に教えることができるだろう…と考えつつ。
長く長く ひとつ火種を秘め きたり 消さず絶えさず却火となさず
初夏を思わせる陽気にジャケットを脱いで待っていたら、彼女はいつもの如く着物姿で現れた。
今日はこの季節に合わせ、紅花で染めた薄いピンクのストライプの着物に抹茶色がベースの帯、ライトグリーンの帯締め、パールと渋めのピンク二色使いが可愛い鼻緒のエナメルの草履だった。帯は人間国宝のなんとかさん作らしくて、そんなことを除いてもとても綺麗な色の組み合わせだった。
伯母に会うと、決まってフランス料理をいただくことになっている。
どこに行っても良い席が予約されていて、ワイン以外はメニューを見ることなく店の方と相談しながら料理を決め(時には特別メニューが組まれていることもある)、調理の前後には食材がテーブルまで運ばれて説明があり、必ずシェフが挨拶に来る。時には、メニュー決めからシェフが対応してくれたりする。緊張するが、時々はこういう、私の日常には無い気分を味わうのはとても気持ちが良い。流れを知るだけでも、私にとっては貴重な体験だ。
そんな感じで今回もいつものように食事が始まったかに思えたけれど、私は、以前よりもなんだかリラックスしていた。
母の25回忌を教えてくれたのは、実は伯母だった。
”しょうこちゃん、あちらにはこちらと違って25回忌っていうのがあるのねえ、あなた知ってた?”
毎年命日に合わせて実家に連絡をくれる伯母が父から聞いたと言って電話をくれて、今年は今月会いましょう、ということになったのだ。
伯母は20年前に下の息子を亡くしている。だから私達は、最愛の家族を失うと言う共通点を抱きながら再会して来た。母と年子の伯母にしてみれば、私に対する女親の代弁、というような気持ちもあってのことだったと思う。
しかし今回は、”大人同士”だった。
私は初めて彼女の恋の話しを聞き、その周囲の人間関係やそれに絡めた彼女の結婚観、伯父との関係を面白おかしく聞いた。それぞれの心の痛みや迷いを感じて、色々質問もした。そうやって最後に選んだ柑橘系のデザートを平らげる頃には、私達は女同士の会話を楽しみながらさっぱりとした良い気分になっていた。
4時間のランチのあと、街を散策しながらお気に入りの珈琲の店に行った。そこでもゆっくりして、地下鉄に乗るはずが遠回りをしてJRに乗り、新宿で先に降りて別れるつもりだったのだけどまだ話し足りないわと、二人で降りてホームでお喋りを続けた。伯母は私に話したいことがあると言ったが、それはいつものような諭す言葉ではなくて気遣いの言葉だけだった。
私は初めて、伯母を抱きしめた。着物の人を抱きしめるとこんな感じがするんだなあ、と思った。私はやっと、伯母を理解し始めたんだと思う。
続きを書こうと思えばまだまだある。
どこまでも言葉を続けられる。
でもそれはまたいつか、似つかわしい時が来るまで取っておきたい。
代わりに伯母が引用した言葉を。
70年生きた時、私はどんな言葉を若造に教えることができるだろう…と考えつつ。
長く長く ひとつ火種を秘め
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Profile
HN:
TOBARU SHOKO
性別:
女性
職業:
Creator
自己紹介:
フリーランスのジュエリー作家から調理の世界に寄り道後、アートのクリーエーションに魅了されて現在に至る。
育児支援施設にて親と子を対象とした造詣教室「親子でアート♪」を手掛ける他、下手の横好きで書きモノも少し。
アクセサリー制作は作家の補助、
初心者対象の教室、趣味での制作、など。
ちなみに画像は家宝のPIRELLI Calendar 96 by Peter Lindberghより。
okinawa出身。
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